中間所得者層が急速に成長する市場で、投資家や輸出業者はベトナムを15 ~ 20 年前の中国と比較することが多く、また日本の50年前とも言っている方もいます。
ベトナムでは近年、日本以外にも、韓国や中国、欧米企業の工場が進出し、外国製品への需要が高まり、海外からの輸入品も、同じような需要が高まっています。 越境ECでベトナムに販売することは、通常海外に初めて目を向けた企業にとってかなり、難しそうに見えますが、本来はプロセスをしっかりと踏むことで、簡単に販売の体制を整えることができます。 こちらの記事では、日本企業がベトナムのEコマース市場に参入する際に知っておくべきことについてご説明します。
市場に参入するために知っておくべき戦略
海外のマーケットに参入する際には、いくつかの方法があり、大きく分けてまず、オンラインなのか、オフラインなのかを考えることが必要です。 現在では、ベトナムでのECプラットフォームが確立されてきたおかげで、現地法人を立てずに、テスト的に進出することが可能ですし、もちろん現地のパートナーと協力もしくは自社で販売網を自力で広げていく方法もあります。
参入する前の本当のテストマーケティングをまずやってみること
最初に参入する前に、まず一歩として、先走らずテスト的なマーケティングを試みることをオススメしています。 もちろんその方法は、オフライン、オンラインどちらでも構わないと思っています。
また、大型の展示会も毎年、東南アジア各地で開催されていますので、そこに出店するのも1つの方法です。 ただ東南アジアは、かなり先進国とは言え、2次産業を通り越して、3次産業であるデジタルが盛んとなっているため、初期段階では、オンラインでの方法を模索されることをお勧めしています。
越境EC では、LazadaとShopeeが有名で、Lazadaが海外のセラーに人気のあるプラットフォームとなっています。 海外からだと物流が大変なのでは?と思われるかと思いますが、実際LAZADAを利用する場合は、ベトナムの現地法人を設立する必要がなく、Lazadaがフルフィルメントセンター(関東に倉庫あり)を持ち、そこに送ることで、直接顧客に発送してくれます。 製品はLazadaの倉庫に保管され、Lazada Global Shipping (LGS) によって発送されます。
LGSは、Lazadaがラストマイル配送までを担ってくれています。
LAZADAなどの越境ECでの販売のメリット | LAZADAなどの越境ECでの販売のデメリット |
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・現地への会社設立など不要 ・許可申請などを踏む手順がないため参入しやすい ・複いくつかのオンライストアへの販売が可能 ・テストとして試験的に行うには最適 | ・製品に制限があり、できないものある ・売る数が限られるため、売り上げも限定的 ・認知度が低く、各種現地でのマーケティングも必要 |
国内EC事業
テストマーケティングとして越境(日本からベトナムへの配送)でのECの販売で、需要が見えてきた、もしくは直接的に販売を促したいと考えた場合は、国内でのEコマース販売に舵を切ります。プラットフォームは、LAZADAがメインとなるかと思いますが、時間が立つとAmazonなども台頭してくる可能性があるかと思います。ベトナム国内の場合は、ベトナムにある倉庫を利用、保管し、販売量を増やしていきます。配送スピード、単価ともに消費者の届きやすいものに近づき、よりビジネス拡大に寄与するかと思います。
どうしても、東南アジアでは越境(日本からベトナムへの配送)ECでの、販売は成長期であり、販売数も大きくはありません。もちろん、これからは越境ECが盛んになることは間違えないかと思いますが、やはりベトナム国内でECを行うのとは雲泥の差です。また、通常は、ベトナムに拠点をおく輸入業者や流通業者に商品を販売して流通網を築き、スーパーマーケットやレストランで販売することが一般的だですので、そういった形のオプションも持っておくよ良いかと思います。
製品を輸入して現地で販売する利点 | LAZADAなどの越境ECでの販売のデメリット |
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・販売量が多くなる・配送がかなりスピーディ ・返品の方法もスムーズ ・地元の店、スーパーマーケットなどで販売も可能 | ・輸入規制があり各商品の許可(ライセンス)が必要 ・現地法人の設立必要性 / 輸入業者と連携 |
ベトナム市場に参入するための障壁はどんなものがある?
まずベトナムへの現地法人の設立や、製品の登録など、日本やシンガポールなどと比べると、各手続きが煩雑で、時間がかかります。トラブルや賄賂もつきもののため、その文化を認識して現地に出ることをおすすめしています。
越境ECで個人に、日本からベトナムに送る場合は例外となりますが、バイヤーへ販売を行ったり、現地で会社を設立し、販売を行う際は、必ず商品の許可を得る必要があります。もちろんその商品によって、異なり、化粧品やサプリメント、動物由来の製品や加工食品等々は、政府レベルでの許可となります。
最高付加価値税15% →贅沢品など
標準付加価値税10% →その他の課税対象商品およびサービス
減税対象となるもの5%→ 食品と飲料、農産物、生活必需品、輸送費用、医療機器
VATなし: 国際輸送、輸出品およびサービス、農業機械、動物飼料、肥料など
また製品によっては、特別な消費税 (SCT) や環境保護税 (EPT) などの税金が加算されることがあります。
EU・ベトナムFTA(EVFTA)
英国・ベトナムFTA(UKVFTA)
ASEAN(東南アジア諸国連合)
CPTPP(環太平洋パートナーシップのための包括的かつ先進的な協定)
上記の FTA に加えて、ベトナムは米国とベトナムの二国間貿易協定 (BTA) にも署名しています。この協定は、商品の貿易、知的財産権の保護、サービスの貿易などをカバーしています。
製品規格と表示要件
越境ECのように日本から海外に商品を配送する場合、エンドユーザーである購入者個人の責任で輸入しますが、ベトナムでの国内販売の場合は、製品の登録許可から基準に則したラベルの作成、製品の試験が必要となり、1つ1つクリアしていく必要があります。通常のグローバルスタンダードで標準化されている規格と異なる場合があり、確認が必ず必要となります。また時間もとてもかかります。ベトナムでは1万以上の国の規格・規制の仕組みがあり、4割くらいが国際規格とズレがあります。
主に以下の 3 つの局が食品規制を管轄しています。日本の厚生労働省、農林水産省のようなものです。
保健省(MOH)
農業農村開発省(MARD)
産業貿易省 (MOIT)
上記の省庁は、下記の製品を管理・監督しています。
MOH: ミネラルウォーター、ボトル入り飲料水、機能性食品などの包装済み食品や加工食品がほとんど
MARD:乳製品、骨物、肉、野菜、蜂蜜、農産物など
MOIT:油脂、飲料、ビール、アルコール、その他
以下に、さまざまな製品カテゴリの表示基準の例を示します。
例 A: 食品安全法 (LoFS) (2011 年) ベトナムの食品安全を導く包括的な法律 例 B: 政令 43/2017/ND-CP 食品表示規制
まずはLAZADAやshopeeを日本国内から販売してみましょう
LAZADAやshopeeでは、東南アジア向けプラットフォームとして、シンガポール、ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシア、台湾(shopeeのみ)への販売を日本国内から行い、売れた場合には、エンドユーザーに届けることができます。もちろん、関税やライセンスも必要ないため、最初のステップとしては一番ベストな方法かと思います。物流システムではLAZADAは日本にフルフィルメントサービスを展開しているため、海外発送も全て国内拠点に送れば、海外の顧客まで届けてくれるすばらしいサービスも備わっています。
参照「ラザダ(LAZADA)で商品を発送・配送するのための方法とピックアップサービスについて」
ECプラットフォームの初期費用
現在の国内で盛んなアマゾンや楽天などと違い、lazadaもshopeeも販売するまでのプラットフォームの利用は無料です。販売手数料は4%~かかりますので、各商品確認が必要です。市場における競争と価格レベルの戦略的概要を把握することが重要です。
ベトナムでの現地ECサイトで販売する場合に必要な、現地法人設立について
越境EC販売で需要が確認でき、ベトナムへの進出をすることで、さらに倉庫の所有や、物流機能の拡充で、ユーザーへの手元に来るスピードや利便性、コスト削減などを行うことが可能です。基本的にベトナムでは有限責任会社 (LLC) と株式会社 (JSC)が可能です。100%外国人資本で設立が可能ですが、ライセンスによって資本金の要求金額が異なるため注意が必要です。あくまでも一例ですが、コンサル業務でも560万円前後(1ドル140円)は必要となります。
ベトナムで会社設立のために必要な要件
資本金額の要件あり
100% の外国人株主で許可可能
法人住所が必要で、一軒家は不可
少なくとも1人の取締役が必要(取締役は海外に30日以上滞在不可)
各種書類(投資登録証明書、事業者登録証明書、税務登録と営業許可税の納付、資本拠出)
新聞への公告
